「株式譲渡によって優秀な人材を雇いたい。」
「株式譲渡によって役職員にインセンティブを与えたい。」
特にスタートアップやベンチャーでは、起業後に会社が大きくなると、このように株式の譲渡によって優秀な人材を雇いたい、株式譲渡によってモチベーションを上げたいと思うことがあるかもしれません。
本記事では、そのような時に使用できる株式譲渡契約書の雛形をwordで提供すると共に、株式譲渡契約書を締結する際に注意すべきポイントを解説します。
なお、本記事では、M&Aや資本提携における株式譲渡契約書の説明はありません。ご了承いただけますと幸いです。
株式譲渡契約書のword雛形のダウンロード
はじめに、株式譲渡契約書の雛形のwordデータは、こちらからダウンロードできます。
契約書ラボ_株式譲渡契約書_ver.21.1契約相手とスムーズに契約を締結できるように、シンプルで簡易な雛形としています。
株式譲渡契約書の雛形と印紙税
株式譲渡契約を締結する際に気になることの1つに、印紙税が挙げられます。
結論としては、株式譲渡契約に収入印紙は不要と考えられます。
したがって、本記事からダウンロードできる雛形を使用する際にも印紙税は発生しないと考えられます。
国税庁のサイトには、次の記載があります。
有価証券の譲渡を約する文書は、平成元年3月31日までは有価証券の譲渡に関する契約書(旧第19号文書)として課税されていましたが、同年4月1日から課税が廃止されました。
国税庁Webサイト「債権譲渡の意義」
なお、印紙税についての基本的な考え方は、次の記事もご参照ください。
次の記事も請負契約や(準)委任契約における印紙税の考え方を記載していますので、ご参照ください。
無償での株式譲渡と税金
印紙税が生じず、収入印紙が不要だとしても、株式譲渡で税金が生じないとは限りません。
特に無償での株式譲渡を行う場合には、贈与税に注意する必要があります。
無償での譲渡の場合、譲渡人には税金は生じません。他方、譲受人には贈与税が課税される可能性があります。
株式譲渡と会社法上の手続
本記事で提供するような雛形を利用して株式譲渡を行う際、上記のような課税関係に加えて、会社法上の手続にも意識を向ける必要があります。
特にスタートアップやベンチャーでは、定款に基づき株式の譲渡を制限していると思います。
株主総会を株式譲渡の承認機関としている例が多いため、本記事の雛形を利用して株式譲渡を行う場合には、株主総会が必要となる可能性がある点にご留意ください。
株式譲渡契約書の注意点と創業者間契約書
本記事の雛形を利用して株式譲渡を行う場合には、下記記事もご参照下さい。
重要なメンバーに株式を譲渡する場合、必ず「そのメンバーが会社を辞める可能性」に注意する必要があります。
重要なメンバーが株式を保有したまま会社を辞めた場合、次のリスクがあります。
- 新しく参加してもらいたいメンバーに十分な株式を渡すことができない。
- 連絡が取れなくなり、株主としての必要な協力を行ってもらえない。
株式譲渡契約を締結するのと同時に、上記記事を参照の上、創業者間契約書を締結していただくのが良いと思います。
上記記事でも説明していますが、創業者間契約書は、必ずしも共同創業者同士が結ぶものではなく、創業者と、その他の主要なメンバーが締結することも一般的です。
最後に
本記事では、株式譲渡契約書のword雛形を提供するとともに、株式譲渡契約書を締結する際の注意点を記載しました。
本記事が株式譲渡契約の締結を考えている方の参考になることを願っています。