創業者間契約書のWord雛形提供と締結の必要性についての解説!

スモールビジネスであれ、スタートアップであれ、起業後にすべき法的事項は多岐に及びます。

ただ、弁護士としての経験上、その中でも最重要事項に入るのが、創業者間での創業者間契約の締結です。

創業メンバー間契約や、創業者株主間契約などとも呼ばれるものです。

本記事では、創業者間で締結すべき創業者間契約書について、雛形をWordで提供します。アレンジ方法も説明します。

なお、本記事に関する不明点等のご相談や、本記事の執筆者に対する創業者間契約書の作成/確認のご依頼は、こちらのお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

創業者間契約書の契約書雛形のダウンロード

弁護士が作成した創業者間契約書のWord形式での雛形は、こちらからダウンロード可能です。

契約書ラボ_創業者間契約書_ver.21.1

以下では、創業者間契約書の定義や必要性について記述した上で、こちらのWord雛形の解説を行うとともに、雛形のアレンジ方法を説明します。

創業者間契約書とは?

そもそも創業者間契約書とは、どういった契約のことを指すのでしょうか。

株式会社を設立する場合、創業者は株主として会社の株式を保有することになります。

次の場合には、会社の株式は複数人に帰属します。

  1. 複数人で会社を創業した場合
  2. 新しい主要メンバーに創業者が株式を譲渡した場合

会社の株式が複数人に帰属する場合、会社の株式を保有する株主でもあるメンバーが、会社を辞めてしまう事態(または死亡してしまう事態)に遭遇する可能性があります。

このメンバーによる退職等の事態が生じた場合に備え、退職等したメンバーの株式の取扱いを事前に定めておくものが創業者間契約書になります。

創業者間契約書の必要性は?

個人的には、すべての会社が創業者間契約を締結すべきだと考えます。

起業当初からいつまでも会社の創業者が変わらないとは限りません。

共同創業者(または主要なメンバー)は、次のような理由で辞めることが考えられます(ICTベンチャー人材確保ガイドライン)。

  1. 仕事内容に対する不満がある場合
  2. 自分の評価に対する不満がある場合
  3. 働く仲間に対する不満がある場合
  4. 自主性を発揮できないことに対する不満がある場合
  5. 自分だけが成果を出していることに対する不満がある場合

共同創業者や主要なメンバーが、株式を保有したまま退職してしまうと、次のような問題が生じるリスクがあります。

  1. 新しく参加してもらいたいメンバーに十分な株式を渡すことができない。
  2. 連絡が取れなくなり、株主としての必要な協力を行ってもらえない。

※ このほかに、共同創業者や主要メンバーが競合他社に就職した後に株主としての権利を行使されることで、競合他社に会社の情報が開示されてしまうリスクを上げる見解もあると思います。しかし、決定的に重要なのは上記2点と考えられるため、こちらは注に留めています。

会社法上、株主全員の同意が必要とされる手続も多く、これらの問題は阻止しておかなければ会社の機動的な運営に重大なダメージを与える可能性があります。

たとえば、次の事態に遭遇するリスクがあります。

Sample

良い条件のM&Aが決まりかけたが、退職した共同創業者や主要メンバーが反対することにより、持分の100%の売却ができなくなり、M&Aが破談に終わった。

Sample

株主総会の招集手続を省略して機動的に株主総会を開催したかったが、退職した共同創業者や主要メンバーと連絡がつかず、招集通知を送らなければならなくなった。

これらの事態の発生を防ぐため、創業者間契約書の締結は必要不可欠です。

創業者間契約書の雛形の解説とアレンジの方法

それでは、ここからは冒頭に挙げたWord雛形の説明をするとともに、アレンジ方法を示します。

ポイント1)ベスティング/リバースベスティング

雛形の創業者間契約書では、共同創業者や主要メンバーが会社を退職した場合、創業者代表が希望する場合には会社の株式全部を創業者代表に譲渡しなければならないことにしています。

これに対し、共同創業者や主要メンバーが会社に退職するまでの貢献を評価し、会社の株式の一部は創業者代表も譲渡を請求できない形とすることも考えられます。

いわゆるリバースベスティングを設定する形ですね。

しかし、本記事の雛形では、敢えてこのリベースベスティングに関する定めは設定していません。

上記のような創業者間契約書の必要性に鑑みれば、リバースベスティングを設けてしまい、退職した共同創業者や主要メンバーから買い取ることのできない株式を生じさせてしまうと、創業者間契約書の存在が無意味になるとも考えられるからです。

ポイント2)買取価格と贈与税

本記事の創業者間契約書の雛形では、会社を退職した共同創業者や主要メンバーから創業者代表が株式を買い取る価格について、当該共同創業者や当該主要メンバーが当該株式を取得した当初の取得価格と同一の金額としています。

これに対し、共同創業者や主要メンバーの貢献に報いたいと考える場合には、次のような定めにしておくことも考えられます。

Sample前条に基づく対象会社株式の譲渡の1株あたりの対価は次の各号に定める金額のうち、いずれか最も高い金額とする。
(1) 主要メンバーが対象会社株式を取得した際に当該対象会社株式の対価として支払った金額
(2) 対象会社の最終事業年度における簿価純資産額を前条に基づく創業者代表による株式譲渡請求時点での対象会社の発行済株式総数(自己株式を除く)で除した金額。なお、1円未満の端数は切り捨てるものとする。

なお、雛形通り、共同創業者や主要メンバーが株式を取得した当初の取得価格を買取時の価格とすると、買取時の価格と当初の取得価格に大きな差がある場合、贈与税などの課税関係が生じる可能性があります。

非上場株式を譲渡する際の税金まとめ!個人から法人、個人から個人に売却すると?」などが参考になると思います。

ポイント3)株主としての権利の行使

本記事の創業者間契約書の雛形では、共同創業者や主要メンバーに対し、創業者代表が決定する方針に従った会社運営に必要な協力を行う義務を課しています。

これにより、創業者代表は株主総会の招集手続の省略や、書面決議により、機動的な会社運営を実現することができます。

また、良い条件での買収提案があったような場合に、当該買収に応じる上で必要な協力を行わせることができます。

ポイント4)専念義務・競業禁止

雛形には記載していませんが、専念義務や競業禁止についても創業者間契約書の中で規定することも考えられます。

この場合には、たとえば次のような規定を設けるのが良いと思います。

Sample

主要メンバーは、対象会社の役員、従業員または契約相手としての職務もしくは業務に専念するものとし、対象会社以外の会社その他の団体における役員、従業員その他の構成員としての地位を兼務してはならず、対象会社と競合する事業を営む第三者の業務をおこなってはならないものとする。

最後に

本記事では、創業者間契約書の必要性について記載するとともに、創業者間契約書の雛形を提供し、あわせてそのアレンジ方法を解説してきました。

本記事が会社を起業された方のお役に立てることを願っています。

なお、本記事に関する不明点等のご相談や、本記事の執筆者に対する創業者間契約書の作成/確認のご依頼は、こちらのお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

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