Word雛形|業務提携契約書の雛形と注意点

「他の企業と互いに強みを活かして業務の提携をしたいけど、契約書はどうしよう。」

本記事では、弁護士である執筆者が、Wordファイルで業務提携契約書の雛形を公開すると共に、その雛形のアレンジ方法について紹介しています。

また、①業務提携契約を締結する際の印紙税や、弁護士として質問を受けることも多い②業務提携契約と業務委託契約の違いについても記載します。

業務提携契約書の雛形

はじめに、弁護士である本サイトの運営者が作成した業務提携契約の雛形を載せます。

以下、①業務提携契約の締結の際に問題になる印紙税と、②業務提携契約と業務委託契約の違いについて解説した後、②業務提携契約書作成のポイントと雛形のアレンジ方法について解説します。

雛形のアレンジ方法について先に知りたい方は次の項目は読み飛ばしてください。

業務提携契約書と印紙税

印紙税は、印紙税法に定められる課税文書に対して課されるものです。

業務提携契約については、次の課税文書への該当性が問題になります(印紙税法における印紙税額一覧表の第2号・第7号文書)。

  1. 請負に関する契約書
  2. 継続的取引の基本となる契約書

以下、順に確認します。

請負に関する契約書

まず、請負に関する契約書への該当性を考えます。

印紙税法における「請負」の捉え方については、下記の記事を参照して下さい。

こちらの記事にある通り、次の両要件を充足すると請負に関する契約書に該当することになります。

  1. 一定のシステムの完成等(=仕事の完成)が約束されている
  2. 当該システムの完成等に対して報酬が支払われることとなっている

印紙税額については、具体的には次のような金額になります(タックスアンサーNo.7102)。

契約金額(報酬金額)印紙税
1万円未満   非課税
1万円以上、100万円以下  200円     
100万円を超え、200万円以下      400円
200万円を超え、300万円以下1,000円
300万円を超え、500万円以下2,000円
500万円を超え、1,000万円以下1万円
1,000万円を超え、5,000万円以下2万円
5,000万円を超え、1億円以下6万円
1億円を超え、5億円以下10万円
5億円を超え、10億円以下20万円
10億円を超え、50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円
<<印紙税額一覧表>>

なお、印紙税は原則として収入印紙を契約書に貼り付ける形で納付します。

継続的取引の基本となる契約書

次に、継続的取引の基本となる契約書への該当性を考えます。

1点目として、印紙税法上の課税文書である「継続的取引の基本となる契約書」には、契約期間の記載のあるもののうち、①当該契約期間が三月以内であり、かつ、②更新に関する定めのないものは含まれません。

したがって、業務提携契約に関しても、上記①②の要件を満たす場合には、継続的取引の基本となる契約書には該当しません。

2点目として、印紙税法上の課税文書である「継続的取引の基本となる契約書」には、以下の3つの類型があります(タックスアンサーNo.7104)。

売買取引基本契約書や貨物運送基本契約書、下請基本契約書などのように、営業者間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する複数取引を継続的に行うため、その取引に共通する基本的な取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうち1以上の事項を定める契約書

タックスアンサーNo.7104

代理店契約書などのように、両当事者(営業者には限りません。)間において、売買に関する業務、金融機関の業務、保険募集の業務又は株式の発行若しくは名義書換の事務を継続して委託するため、その委託する業務又は事務の範囲又は対価の支払方法を定める契約書

タックスアンサーNo.7104

その他、金融、証券・商品取引、保険に関する基本契約のうち、一定のもの

タックスアンサーNo.7104

このうち、業務提携契約との関係で問題になるのは、上の2つになります。

具体的には、次のようなケースでは、1点目の例外要件に該当しない限り、業務委託契約書は、継続的取引の基本となる契約書として課税文書に該当することになると思います。

  • 業務提携契約の中で、一定の物品を継続して供給することが委託されており、債務不履行の場合の損害賠償の方法が定められている場合
  • 業務提携契約の中で、店舗の経営(物品の売買を含む。)が委託されており、当該契約において、委託する業務の範囲や対価の支払い方法が定められている場合(国税庁の照会に関する回答をご参照下さい。)

継続的取引の基本となる契約書に該当する場合には、その印紙税額は一律4,000円となります。

なお、業務提携契約書が、請負に関する契約書と継続的取引の基本となる契約書のいずれにも該当する場合には、課税額の高い方の契約書に該当するものとして取り扱われます。したがって、契約金額が500万円以下である場合には「継続的取引の基本となる契約書」としての課税額が適用され、4000円となります(2以上の号に該当する文書の所属の決定)。

電子契約と印紙税

上記のところにかかわらず、クラウドサインなどの電子契約を用いた場合に印紙税が生じないと考えられる点については、次の記事の中に詳しく記載しましたので、こちらもご参照ください。

業務提携契約と業務委託契約の違い

「業務提携契約と、業務委託契約の違いって何ですか?」

弁護士として、業務提携契約と業務委託契約の違いについて説明を受けることは多いです。

そこで、業務提携契約書の雛形とアレンジ方法を紹介するという本記事のテーマからは少しズレますが、弁護士として思う業務提携契約書と業務委託契約書の違いを少し記載しようと思います。

法的性質の違い

まず、法的な性質に違いはありません。

業務提携契約であろうと、業務委託契約であろうと、役務の提供が約束されたのであれば、役務の提供に関する法令の定めが適用されます。

また、金銭の支払が約束されたのであれば、金銭の支払いに関する法令上の定めが適用されます。

法的に見れば、業務提携契約にするか、業務委託契約にするかによって知的財産権の帰属先や取扱いが変わる訳でもありません。

インプレッションの違い

もっとも、法的性質に違いはないものの、業務提携契約と業務委託契約とを使い分ける方が望ましい側面もあります。

それは語感の印象の違いです。

法務に慣れた人からすれば、不合理に感じられることだと思いますが、業務提携契約には対等な立場での契約という印象があるのに対し、業務委託契約には下請けという印象があります。

そして、この印象の違いは、次のような不合理な担当者の反応を生じさせます。

「業務委託契約である以上、知的財産権は委託者に帰属するのが当然だ。この点を譲歩することはできない。」

弁護士として執務する中で、実際にこのような反応を示す大企業の法務担当者に遭遇したことがあります。

このような不合理な反応の発生を抑えるための手法として、業務提携契約という建付を採用することが有意義なケースは少なくないと思います。

業務提携契約書作成のポイントと雛形のアレンジ方法

それでは、業務提携契約書のチェックポイントについて説明します。

業務提携契約書作成のポイント1:目的

「業務提携契約書に、契約締結の目的を書く必要ってあるの?」

これは、弁護士として業務提携契約書を作成したり、レビューしたりする際、クライアントの方からしばしば聞かれる質問です。

結論としては、契約締結の目的を書くことは必ずしも必要ありません

もっとも、業務提携契約書には、契約締結の目的を記載することが一般的です。

本記事で公開している業務提携契約書の雛形においても、契約締結(=業務提携)の目的について第1条に記載する形としています。

しかし、上記の通り、この目的については、必ず記載しなければならないというものではないので、省略したり、抽象的に記載したりすることもできます。

本記事のサンプルの雛形でも、細かい文言をめぐる契約交渉を避けるため、抽象的に「両者の社会的評価および売上を向上させることを目的」とする旨を定めています。

ただし、2020年4月1日に施行された民法改正に伴い、民法上で「契約をした目的」との文言が複数箇所で採用されていることもあり、民法改正後は相対的に目的の記載が重要になっているとも考えられます。また、目的を具体的に記載することには、契約の適用対象を明確化されるというメリットがあります。したがって、契約交渉に時間をかける余裕があるなど、もし可能であれば、具体的に記載する方が望ましいです。

業務提携契約書作成のポイント2:業務分担

業務提携契約書作成の際に重視すべきポイントの1つが、業務分担です。

大まかな役割分担の記載

業務提携契約書は、一般的に、次のような構造を取ります。

  1. 目的の記載
  2. 当事者が互いに分担する業務の記載
  3. 互いに分担する業務のうち、業務提携契約の締結時にすでに詳細が確定している重要な業務に関する記載
  4. 収益の分配(報酬)に関する記載
  5. 費用の負担に関する記載
  6. 一般条項(知的財産の帰属や損害賠償を含む)

本記事でダウンロード可能なWord雛形でも、この構造を採用しています。

当事者が互いに一定の業務(=役割)を行うことを内容とする契約であることから、互いに分担する業務の記載が必要になります。

しかし、業務提携契約の締結時点では、互いが分担する業務の詳細が確定していないことも多いと思います。

したがって、「2.当事者が互いに分担する業務」は、基本的には、抽象的に書くことになると考えます。

主要な役割についての明確な記載

もっとも、業務提携において互いが果たす役割のうち、一定のものについては、相手がそれを実施することを約束したことが、相手との間で業務の提携を実行するという意思決定の主要な要因になっているものがあるのではないでしょうか?

そのような重要な業務(契約決定要因業務)については、別の規定を設けるなどして、明確に記載しておく必要があります。

どのような業務がこの契約決定要因業務に該当するかはケースバイケースになるため、本記事における業務提携契約書の雛形においては、こちらの記載は省略しております。

しかし、弁護士としての経験上は、次の業務が契約決定要因業務に該当することが多いと考えます。

  • 一方当事者が保有する知的財産権の利用を許諾すること
  • 一方当事者が、一定額の資金を他方当事者に供給すること
  • 一方当事者が、他方当事者に取引先を紹介すること

これらについて、契約に記載する上でのサンプルは、たとえば、次のような条項になります。

Sample

甲は、乙に対し、本契約の有効期間中、●という目的を達成するために合理的に必要な範囲において、甲に帰属する●に関する知的財産権の利用を無償で許諾するものとする。

Sample

甲は、乙に対し、本契約の有効期間中、毎月末日までに、月額●万円(税別)を乙の別途指定する口座に振り込む方法によって支払うものとする。なお、本契約の始期または終期が月の途中に属する場合には、日割計算を行うものとする。

Sample

甲は、乙に対し、毎月末日までに、●社以上の甲の取引先(すでに乙との間で契約を締結している者を除き、乙との間で乙の提供する商品またはサービスに関する契約を締結する合理的な可能性を有する者に限る。)を紹介し、当該取引先と乙との間で乙の提供する商品またはサービスに関する契約が成立するよう働きかけを行うものとする。なお、本条において「紹介」とは、乙の要請に応じ、乙に対し、甲の取引先と連絡を取る手段の提供(乙が当該取引先と口頭で話すことができる機会を設定することを含むが、これに限られない。)を行うことを意味する。

なお、契約決定要因業務が知的財産権の利用許諾や、取引先の紹介になる場合には、次の記事もご参照下さい。

業務提携契約書作成のポイント3:報酬・収益分配

業務分担と密接に関わる点ですが、業務提携契約書において非常に重要なのが、報酬、収益分配に関する定めです。

レベニューシェア

業務提携契約においては、業務提携によって得られる収益を何らかの形で分配することがあります。

本記事で掲載しているwordの雛形においても、このような収益分配に関する規定を第2条に定めています。

具体的には、本記事の雛形は、次のような流れで、両者均等に収益を分配することを想定しています。

  1. 各当事者は、当月中に自らが業務提携から受領した収益の総額を計算する。その総額のうち、相手に分配されるべき金額(均等分配である場合には50%相当分)も合わせて算出する。
  2. 各当事者は、上記の計算によって得られた数値を、翌月10日までに、相手に対して通知する。
  3. 各当事者は、自分が行った通知と相手から受領した通知を見比べて、「本来分配されるべき金額よりも多額の金額を受領している当事者」が、自分自身か相手のいずれなのかを考える。
  4. 各当事者は、自分が本来分配されるべき金額よりも多額の金額を受領していることを認識した場合には、相手に対して超過分の金額を支払う。

このような形で分配することによって、無駄なお金の流れ(互いに相手への分配金を支払うような事態)を阻止できます。

もっとも、この分配方法では、当事者のいずれかが虚偽の報告をすることによって、相手の利益が不当に減少してしまうリスクがあります。

そのため、サンプルの雛形においては、第4条において、両当事者に対し、互いの報告の正確性を調査するための権限を与えることとしています。

なお、雛形では収益分配の割合を均等としていますが、収益分配の割合を変更する場合には、次のような規定とすることが考えられます。

Sample

甲または乙が、本契約の有効期間中、本契約に基づく業務提携の結果として、第三者から金銭その他の財産または財産的利益を取得した場合には、当該財産等(以下「分配対象収益」という)について、次項以下の定めに従い、甲乙間において、次の割合で均等に分配するものとする。
(1)甲の分配割合: 70%
(2)乙の分配割合: 30%

また、収益の取得原因に応じて収益分配の割合を変更する場合には、次のような規定とすることも考えられます。

Sample

甲または乙が、本契約の有効期間中、本契約に基づく業務提携の結果として、第三者から金銭その他の財産または財産的利益を取得した場合には、当該財産等(以下「分配対象収益」という)について、次項以下の定めに従い、甲乙間において、次の各号に定める分配対象収益の取得原因に応じ、当該各号に定める割合で均等に分配するものとする。
(1)分配対象収益が甲の営む●において生じた場合
   甲の分配割合: 70%
   乙の分配割合: 30%
(2)分配対象収益が乙の営む●において生じた場合
   甲の分配割合: 30%
   乙の分配割合: 70%

固定報酬

上記のレベニューシェアに対し、固定額の報酬を定めるケースもあります。

このような固定報酬の支払いに関しては、その支払行為が上記の契約決定要因業務に該当することになることがほとんどだと思います。

そのため、別途「収益分配」のようなタイトルを付けた条項を用意する必要はありません。

業務提携契約書作成のポイント4:知的財産権

業務提携契約においても、知的財産権の取り扱いが問題になります。

本記事で掲載している雛形では、いわゆる共有型を採用した上で、共有となった知的財産権については、両当事者が互いに自由に利用できることとしています。

なお、知的財産権に関する条項については、こちらの記事に情報を整理しておりますので、ご参照ください。

最後に

本記事では、業務提携契約書のWordファイルの雛形を公開すると共に、そのアレンジ方法を紹介し、同時に業務提携契約を締結する際の注意点について記載してきました。

本記事が、シナジーの生じそうな企業と提携し、売上や利益を図っていこうとお考えの経営者の方のお役に立てることを願っています。

この記事を書いた人
契約書bot

企業法務に従事する弁護士

主に中小企業に対して契約書等作成、リーガルリサーチ、訴訟対応などのサービスを提供しています。

会社法上要請される諸手続および登記手続についても日々対応しています。

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