契約書チェックの重要性は?チェックすべきポイントは?

「契約書を締結することになったけど、これって誰かに見てもらった方がいいの?」

「重要な契約だから丁寧に確認したいけど、どこを重点的に確認すれば良いの?」

本記事はこういった疑問を持つ方に、弁護士である執筆者が、①契約書チェックの重要性と、②契約書のチェックの基本的な方法、そして②契約書においてチェックすべきポイントを示すことを目的にしています!

契約書チェックの重要性は?

契約書チェックの必要性が低い契約書

そもそも契約書のチェックは、本当に必要なのでしょうか?

弁護士としては「非常に重要なので、必ず必要です。」と言いたいところです。

しかし、本当のところを言えば「ケースによって異なる。」という回答になると思います。

たとえば、一回きりの契約であって、ビジネスに大きな影響を及ぼさないような契約については、高いコストを支払ってまで第三者に確認してもらう必要性はありません。

そのような契約については、自分で軽く一読するだけで済むケースもあると思います。

契約書チェックの重要性が高い場合

それでは、第三者に依頼してまでチェックすべき契約書とは、どのようなものでしょうか?

一概に言うのは難しいのですが、個人的には「将来の事業活動への影響が大きい契約書」が、契約書チェックの重要性が高い契約書であると考えています。

具体的には、次の4つのポイントを確認するのが良いと思います。

  1. 対象となる取引の額
  2. 契約の有効期間
  3. 成果物の有無及び重要性
  4. 取引相手の重要性

対象となる取引の額

1点目は対象となる取引の金額です。

これは、直感的に分かりやすいと思います。

自社のビジネスの規模に照らして、対象となる取引の金額が大きい場合には、第三者に契約書のチェックを依頼することを検討する必要があります。

契約の有効期間

2点目は契約の有効期間です。

契約の有効期間が数ヶ月となっているような場合、その契約がビジネスに及ぼす影響は小さい可能性が高いです。

他方で、3年間以上の有効期間があり、中途解約も禁止されているような場合には、その契約がビジネスに及ぼす影響は大きいといえます。

成果物の有無及び重要性

3点目は成果物の有無と重要性です。

成果物が想定され、その成果物が今後のビジネスにとって重要なものとなる可能性が高い場合、その契約がビジネスに及ぼす影響は大きいです。

たとえば、そのような成果物の知的財産権が自社に帰属することになっていない場合には、将来的に成果物の利用を禁止され、ビジネスが終了に追い込まれる可能性もあります。

自社のビジネスにとって重要な成果物を制作してもらう場合、又は制作する場合には、第三者に対して契約書の確認を依頼する必要性が非常に高いです。

取引相手の重要性

4点目が取引相手の重要性です。

契約の相手が、今後長期間にわたって取引をすることが予想される相手である場合には、初回の契約条件を確認する必要性が高いといえます。

そのような契約相手との初回の契約で自社に利益な契約条件をもつ契約を締結してしまうと、以降も継続してその契約条件が維持されてしまう可能性が高いです。

契約書チェックとは?その方法は?

弁護士への依頼:費用の相場

上記4つの観点から契約を確認し、チェックの必要性が高い契約であることが確認できた場合には、弁護士に契約書の確認を依頼することをお勧めします。

しかし、弁護士による契約書レビューの費用は安いものではありません。

契約書のレビューを日常的に行っている企業法務系の弁護士のタイムチャージは、安くても1時間あたり2万円程度はするのが通常です。

契約書1ページあたりのレビューに平均30分程度かかるとすれば、4ページの契約書について、4万円程度がかかる計算になります。

実際には契約の類型や場面に応じてレビューに要する時間は大幅に変動するため、平均30分という値は、やや大雑把に過ぎるかもしれません。

自分で契約書をレビューする方法

「高額の弁護士費用を払って契約書のレビューを依頼するのは難しい。」

そのように考える経営者の方、法務担当者の方も多いと思います。

このような方にお勧めなのが、契約の内容を相手に聞きつつ自分で確認することです。

まず、契約書チェックの基本的な流れについて説明したいと思います。

  1. Web上の情報をもとにチェックすべきポイントを把握する。
  2. 契約書全体を一通り読む。
  3. チェックすべきポイントは重点的に読む。
  4. よく分からないところは書き留めておく。
  5. 自分に不利益だと思われるところも書き留めておく。
  6. 4のポイントについて、契約相手に説明を求める。
    —– その際、説明はメールベース又は録音等により記録しておく —–
  7. 5.のポイントについて、契約相手に対し、修正を要求し、修正できない場合には理由を示すように要求する。

ポイントは、契約相手から説明を受けた内容を記録しておくことです。

しっかりと契約相手から説明を受けた内容を記録しておけば、将来的に契約内容に関する争いが生じた場合であっても「言った言わない」という不毛な争いを避けることができます。

契約書のチェックリスト

本記事では、いくつかの契約書に関するチェックリストを提供します。

締結しようとしている契約の類型に合わせて、以下をご確認ください。

秘密保持契約書

秘密保持契約書のチェックポイントは次の通りです。

なお、こちらのポイントさえ抑えておけば足りるというものではなく、最低限抑えておくべきポイントを列挙するという観点からの記載となる点、ご了承ください。

1. 片面的な契約になっていないか?

秘密保持契約書の中には、当事者の一方に関する秘密情報だけが保護の対象となっている契約書も存在します。

秘密情報を保護して欲しい立場であるにもかかわらず、このような片面的な契約書を締結してしまうと、自分の秘密情報は保護されず、相手の秘密情報だけを保持しなければならない状態になってしまいます。

片面的な契約となっていないかは確実に確認するようにしましょう。

2. 秘密情報の定義はどうなっているか?

秘密である旨が表示された情報に限定されている場合、自己から秘密情報を開示する場合には秘密である旨を明記する必要があることに注意しましょう。

3. 目的外での秘密情報の利用が禁止されているか

秘密情報の利用目的を限定したい場合には、その点が確保されているかを確認するようにしましょう。

秘密情報の第三者への漏洩が禁止されていない秘密保持契約書は稀ですが、秘密情報の利用目的が限定されていない契約書には、しばしば遭遇します。

4. 秘密情報を開示できる対象の範囲がどうなっているか?

秘密情報を開示できる対象としては、秘密情報を受領した当事者の役員や従業員に限定されているケースが多いです。

他方で、(法的な守秘義務を負わない)アドバイザーのような人や、秘密情報を受領した当事者の再委託先の役職員が含まれていることもあります。

自分が相手から受け取った情報を、自分のアドバイザーや自分の業務委託先に開示する可能性がある場合には、後者の建付としておく必要があります。

これに対し、自分から相手に開示した情報を相手のアドバイザーや相手の再委託先に開示されては困る場合には、前者の建付としておく必要があります。

5. 知的財産権に関する規定が存在しないか?

秘密保持契約書においては、知的財産権に関する規定が置かれることもあります。

その規定の中に、稀に秘密情報とは無関係に生じた知的財産権の帰属先や取扱いについてまで定めているものが存在します。

このような規定については、自分にとって不利益な形となっていないかを十分に確認しましょう。

秘密情報と無関係に生じた知的財産権が全て相手に帰属するような建付けとなっている場合には、修正を求めるようにしましょう。

業務委託契約書

業務委託契約書のチェックポイントは次の通りです。

なお、こちらのポイントさえ抑えておけば足りるというものではなく、最低限抑えておくべきポイントを列挙するという観点からの記載となる点、ご了承ください。

1. 報酬に関する規定はどうなっているか?

業務を委託する側であっても、受託する側であっても、報酬に関する規定は十分に確認しましょう。

報酬の支払時期や、報酬の発生条件も重要です。

自分が意図した規定となっているかを確認してください。

業務を遂行する上で発生する費用を、当事者のいずれが負担することになっているのかも、確認しておくことが望ましいです。

2. 業務の内容はどうなっているか?

報酬と対をなす業務の内容についても十分に確認しましょう。

たとえば、業務を受託する側としては、業務の結果を約束できないような場合には、一定の成果物の完成や納入が業務の内容となっている場合には、修正を求める必要があります。

また、業務を受託する側としては、何度も仕事のやり直しを求められる建付となっていないか、費用に見合わない補修を求められることがないか(民法562条1項但書が排除されていないか)、という点を確認する必要があります。

これに対し、業務を委託する側としては、次のような点を確認する方が良いです。

  1. 仕事のやり直しを求められる回数が決まっていないか
  2. 仕事のやり直しを求められる期限が決まっていないか
  3. 仕事のやり直しに替えて報酬の減額や解除を請求することができるか
3. 損害賠償に関する規定はどうなっているか?

業務委託契約においては、損害賠償に関する規定も確認が必須です。

こちらについては、次の記事も参考にして下さい。

4. 知的財産権に関する規定はどうなっているか?

業務委託契約においては、知的財産権に関する規定も確認が必須です。

成果物がある場合だけでなく、成果物がない場合にも、業務の過程で生じる知的財産権が想定される場合には、確認が必要である点には注意してください。

こちらについては、次の記事を参考にして下さい。

最後に

本記事では、①契約書チェックの重要性と、②契約書のチェックの基本的な方法、そして②契約書においてチェックすべきポイントについて、記載しました。

本記事が契約書を第三者にチェックしてもらうべきかを悩んでいる方、自分で契約書のチェックを行いたいが方法を悩んでいる方の参考になることを願っています。

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