減資手続に必要な期間は?スケジュールも知りたい!

本記事が対象としているのは資本金の減少、いわゆる減資です。

中小企業、特にベンチャー企業の経営者にとって、経験することになる可能性が高い減資について、弁護士である執筆者が

どういった場面で実施するのか
具体的にどういった手続が必要なのか

を紹介します。

本記事で減資の手続のスケジュールをイメージしていただければ、自社でスケジュールを組み、書類の作成のみを専門家に依頼してコストを下げることもできると思います!

減資って何?

減資とは、資本金を減少させる手続きをいいます。

資本金の額は、納税額にも影響します。

また、資本金の額が大きくなると、会社法上、一定の機関の設置が必要になるなどの面倒な規制がかかります。

したがって、減資をすることで節税に繋げることができたり、会社法遵守の負担を軽くできたりと、減資のメリットは大きいです。

事業年度末時点の資本金が5億円以上の会社は「大会社」となり、会計監査人を設置する義務があります。

さらには、減少した資本金を資本剰余金に組み入れてマイナスの資本剰余金と相殺することで欠損を解消し、会社の財務状況を改善することも可能となります。

もちろん、金融機関から融資を受ける際に一定額の資本金が要求される場合もありますから、一概に減資した方が絶対いい!と言い切ることはできません。

しかし、特に中小企業やベンチャー企業の多くは事業年度末までに減資をした方がいい場合が多いでしょう。

特に増資によって多額の資金調達を受けた場合は減資の必要性についてよく検討することが重要になります。

それでは減資の手続きとスケジュールの組み方について解説していきます。

減資は、資本金が1億円を超えたり、5億円を超えるタイミングで検討することが多いです。
減資をすべきか判断できない経営者の方は、専門家にご相談下さい。

減資の手続きの概要

減資のスケジュールを検討する前に、ざっくりと減資の手続きの概要を解説します。

大枠として以下の手続きが必要になります。

①取締役の決定(株主総会の招集)

②株主総会の招集通知の発送

③株主総会

④官報公告、債権者への通知

⑤債権者異議申述期間(1ヶ月以上)

⑥異議を申し立てた債権者への弁済

⑦効力発生(=減資)

会社の実態によっては上記以外にも手続きが必要となる場合がありますので、迷った場合には専門家にご相談下さい。

債権者への通知は、会社の公告方法が「電子公告(又は日刊新聞)」の場合、官報とウェブの両方で公告することで省略することが可能です。

上記では、株主総会を通常の招集期間を設定して開催することを想定しています。
株主全員の同意を得て招集手続を省略する場合や、実開催しない(=いわゆる書面決議)場合には、②の手続きを省略できます。

減資に必要な期間

減資のスケジュールを組む前に、ざっくりとどれくらいの期間がかかるかといいますと、約2ヶ月となります。

たとえば、事業年度末が12月の会社ですと、10月頃から準備をする必要があります。

手続を専門家に依頼する場合、10月中旬頃までに依頼しないと、「もう間に合いませんよ」と依頼を断られることにもなりかねません。

減資には2ヶ月程度の期間を要するということをしっかりと頭に入れておきましょう。

減資のスケジュールの概要

さて、上記の具体例を前提にした場合、減資のスケジュールの概要は次の通りです。

減資のスケジュールを組む際は、効力発生日から逆算してスケジュールを組むことをおすすめします。

スケジュール案

・10月中旬~

 減資手続きの検討(専門家への依頼)

・11/8

 取締役の決定

 株主総会の招集通知発送

・11/9

 官報公告申込期限

・11/16

 株主総会

・11/26

 官報公告掲載日

 債権者への通知到達日

・12/26~12/30

 異議を申し立てた債権者への弁済

・12/31

 効力発生日

官報公告の申し込みは、掲載日の中11営業日前に行う必要があります。
決算公告を行っている場合には、申込期限は掲載日の中5営業日前までとなります。
実際に手続きを行う際は、お近くの官報販売所までお問い合わせ下さい。

減資のスケジュールを組む際の注意点

減資のスケジュールの概要がイメージできたでしょうか。

以下では、上記のような概要を踏まえ、もう少し踏み込んで、自社で正確な減資のスケジュールを組む上での注意点について説明します。

【減資スケジュールの注意点】

①債権者異議申述期間は短縮できない。

債権者の手続きについては、たとえ債権者全員の同意を得たとしても短縮することはできません。

そのため、債権者異議申述期間である1ヶ月という期間は必ず設ける必要があります。

②債権者への通知は「知れている債権者」全員に行う必要がある。

少額の債権者であっても、会社が認識している債権者である以上、通知を省略することはできません。

もっとも、実務上は、大口の債権者に対してのみ通知を行い、少額の債権者については、異議が出された場合に弁済等によって対処する例もあるようです。

③官報の申込期限はシビア

官報の申し込みは、忘れずに行うようにしましょう。

経験上、1日や2日程度遅れた場合は交渉次第で間に合う可能性もありますが、基本的に申込期限を過ぎた場合には、想定している掲載日に間に合いません。

減資のスケジュールを検討する際は、必ず官報販売所に申込期限を問い合わせるようにしましょう。

減資の決議内容は?

「減資の手続きとスケジュールについてはわかったけど、具体的に何を株主総会で決議すればいいのかわからない」

という方のため、減資手続きにおいて株主総会で決議する必要のある事項を紹介させていただきますので参考にしていただければ幸いです。

減資を行う際に、株主総会で決議する必要のある事項は以下のとおりです(会社法447条1項参照)。

①いくら資本金を減少するのか

②減少する資本金をどこに(資本剰余金、資本準備など)、いくら振り替えるのか

③減資の効力発生日

具体的な議案の内容や減資手続きに必要な書類については、別の記事で紹介する予定です。

最後に

減資の手続きとスケジュールについて解説させていただきました。

減資手続きは、中小企業やベンチャー企業であれば、一度は経験することになる手続きだと思いますので、自社が減資手続きをする場合に備えておくことが大切です。

減資手続きは、スケジュールが最も重要になりますので、効力発生日に間に合うように無理のないスケジュールを組むようにしましょう。

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