Word雛形|クラウドサービスの利用規約の雛形とチェックポイント

「クラウドサービスをローンチしたいけど、利用規約はどう作ったら良いの?」

本記事は、クラウドサービスのローンチに向けて利用規約の作成を考えている方に向け、①利用規約の雛形をwordデータで提供すると共に、②利用規約作成の際のポイントを示すことを目的としています。

また、③作成した利用規約に対する有効な同意の取り方についても併せて解説しています。

なお、本記事に関する不明点等のご相談や、本記事の執筆者に対する利用規約の作成/確認のご依頼は、こちらのお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

クラウドサービスの利用規約の雛形(word)

弁護士である執筆者が作成したクラウドサービスの利用規約の雛形はこちらからダウンロード可能になります。

契約書ラボ_クラウドサービス利用規約_ver.20.0

汎用性のある規約にするという観点から、可能な限り簡易なものとしています。

クラウドサービスの利用規約のポイントと雛形のアレンジ方法

利用料金と支払方法など

クラウドサービスの利用料金は、利用規約に定めるべき事項の1つです。

ただ、利用規約上に利用料金に関する定めを具体的に記載してしまうと、柔軟に料金体系を変えられないことにもなりかねません。

そこで、本記事の雛形では、次のように定めることとしています。

Sampleユーザーは、本サービスの利用の対価として、当社所定の利用料金を、当社所定の支払時期および支払方法に従って当社に支払うものとします。

具体的な利用料金の金額や支払時期、支払方法については、別途サービス上で表示することを前提とした記載になります。

なお、利用料金の金額や支払時期、支払方法について定める場合には、サービスの利用が終了するタイミングのことを意識することが重要になります。

たとえば、月額の利用料金を定める場合には、サービスの利用が終了した日の属する月について、利用料金が日割計算されるのか否かなどを明確に定めておく必要があります。

禁止行為

利用者に対して禁止しておきたい行為を明記することも、利用規約の役割の1つです。

雛形では代表的な行為だけを列挙していますが、サービスの性質に応じ、利用者に実施されたら困る行為を具体的に明記してください。

たとえば、利用者がサービスを通じて異性との出会いを目的とした行為を行う可能性があり、それを禁止しておきたい場合には、次のような行為を禁止行為に加える必要があります。

Sample

面識のない異性との出会いを目的とした行為

この行為を禁止行為として規定しておかないと、インターネット異性紹介事業を行う事業者として、いわゆる出会い系サイト規制法の規制を受ける可能性があります。

なお、禁止行為を定めた場合には、実際に禁止行為が行われた場合の制裁(サンクション)も明確に規定しておく必要がある点に留意が必要です。

本記事の雛形では、サービス利用契約の解除と利用者によって送信された情報の削除を制裁(サンクション)として明記することとしています。

サービスの利用終了(退会手続)に関する定め

利用者によるサービスの利用終了に関する定めも規定しておく必要のある事項の1つです。

どのような手続を経ることによって利用を終了できるかを明確化しておく必要があります。

雛形では別途サービス上で利用終了の方法について表示することを前提とした記載としています。

知的財産権の帰属

知的財産権の取り扱いも明記しておく必要があります。

雛形では、サービス自体の知的財産権に関する定めだけを設けることとしています。

他方で、利用者が、サービスを通じてオリジナルの著作物等を送信することが考えられる場合には、そのような著作物等に係る知的財産権の取り扱いについても明記する必要があります。

考えられる定め方としては、次のものが挙げられます。

  1. すべての知的財産権をサービス運営者に帰属させる。
  2. 知的財産権は利用者に帰属させつつ、サービス運営者に当該知的財産権を無償で利用する権利(利用の目的および方法を問わない)を与える。
  3. 知的財産権は利用者に帰属させつつ、サービス運営者に当該知的財産権を無償で利用する権利(利用の目的および方法に制限を設ける)を与える。

このうち、サービス運営者に有利なものは1や2の定めです。

しかし、1の定めは、利用者や第三者からの強い反発を受ける可能性があります。

実際に、過去にはmixiやユニクロの利用規約が炎上した例があります(SankeiBiz)。

炎上を避ける観点からは、上記3の建付とすることがオススメです。

具体的には、次のような定めが考えられます。

Sample

ユーザーが本サービスを通じて送信した文章、画像その他のデータ(以下本項において「ユーザー送信データ」といいます)に関する知的財産権は、ユーザーに帰属するものとします。ただし、当社は、ユーザー送信データについて、本サービスの改善または新サービスの開発のために無償で自由に利用(第三者への再利用許諾を除きます)できるものとします。

このように利用目的等を制限しておくことで、炎上を防ぐことのできる可能性が高まります。

非保証および免責

利用規約のもっとも重要な規定は、非保証と免責に関する定めといって良いと思います。

過度な責任を負わされる事態を避けるため、非保証と免責に関する規定はマストです。

経済産業省の定める利用規約においても、禁止される事項や免責事項が記載されているのが読み取れます。

雛形の利用規約では代表的な非保証事項および免責事項について規定していますが、サービスの内容に応じた非保証事項や免責事項を適宜追記していただく必要があります。

なお、雛形の利用規約では、損害賠償責任を負う場合の責任範囲の限定について、次のような定めをおくこととしています。

Sample

当社は前2項に定めるほか、本サービスの利用によってユーザーに生じた如何なる損害についても、当社に故意または重大な過失がない限り、責任を負いません。何らかの理由によって責任を負う場合であっても、特別損害については責任を負わず、(i)対象となる損害が生じた月に当社が当該損害を被ったユーザーから現実に受領した本サービスの利用の対価の金額または(ii)1000円のいずれか高い金額を賠償の上限額とします。なお、消費者契約法の適用があり、当社に故意または重大な過失が認められる場合、本項の定めは適用されないものとします。

この定めをアレンジすることを希望する場合には、次の記事の内容もご参照ください。

クラウドサービスと有効な同意の取り方

利用規約への同意の取り方として、チェックボックスを用意することはマストなの?

弁護士として、このような質問を受けることも多いです。

回答としては、「チェックボックスはマストではない」ということになります。

現時点においては、法令等によって利用規約についての同意の取得方法が画一的に定まっているわけではありません。

もっとも、経済産業省が公表している電子商取引及び情報財取引等に関する準則においては、次のような記載があります。

ウェブサイト中の目立たない場所にサイト利用規約が掲載されているだけで、ウェブサイトの利用につきサイト利用規約への同意クリックも要求されていない場合(には)サイト利用規約が契約に組み入れられないであろう場合(にあたる)

電子商取引及び情報財取引等に関する準則21ページ

この記載を基に考えれば、チェックボックスを用意することは必ずしもないものの、サービス利用の申込み画面において、①利用規約全文を表示し、あるいは②利用規約全文を記載したWebページへのリンクを貼るなどして、サービスの提供が利用規約に従って行われることを明確に告知し、かつ、利用規約に容易にアクセスできるようにしておくことが必要になると考えられます。

※ 利用規約が定型約款に関する民法の規定によって契約内容となる場合には、必ずしも利用規約全文を事前に表示する必要はないと考えられます。しかし、少なくとも利用規約を契約内容とすることについての表示が必要となり、その表示は「(ユーザーが)自ら契約内容を詳細に確認したいと考える場合に、その表示を踏まえて定型約款準備者(=利用規約を準備しているもの)に内容の開示を請求し、その内容を確認した上で、不審な点があれば契約を締結しないことが可能となるような」ものでなければならないことから、基本的には、少なくとも上記②の措置を講じておく方が良いと考えます。

最後に

本記事では、クラウドサービスの利用規約について、①雛形を提供すると共に、②ポイントを解説し、③同意の取り方を記載しました。

本記事がクラウドサービスを開発し、運用しようとしている方の役に立つことを願っています。

なお、本記事に関する不明点等のご相談や、本記事の執筆者に対する利用規約の作成/確認のご依頼は、こちらのお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

なお、利用規約の作成にあたっては、資金決済法やその他の法律との関係で考慮しなければならないことが少なからずあります。そのため、利用者の数もわからないローンチ前の段階では、自分自身で規約を作ることもやむを得ないと考えます。しかし、利用者の数も増えてきて、弁護士に依頼して規約を整備する余裕も出てきた場合には、一度弁護士に利用規約の修正を依頼することをオススメします。

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